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十二指腸癌について:原因・検査・治療法をわかりやすく解説

十二指腸癌とは?

十二指腸(じゅうにしちょう)は、胃と小腸(空腸)の間にある消化管の一部で、長さは約25cmほどです。胃で消化された食べ物がまず通る部分であり、胆汁や膵液と混ざり合う重要な場所でもあります。
この十二指腸に発生する「癌」が、十二指腸癌です。発症頻度は比較的少なく、全消化管の癌の1%以下とされています。しかし、発見が遅れると進行して治療が非常におおがかりとなるため、注意が必要ながんの一つです。
十二指腸癌は膵管や胆管という管がつながっており、これらの開口部を乳頭部といいます。乳頭部にできる癌を十二指腸乳頭部癌、それ以外を非乳頭部癌といいます。ここでは、主に非乳頭部癌についてご説明します。

十二指腸癌の原因

① 喫煙・飲酒

たばこを長期間吸うことや、お酒を多量に飲む習慣は、十二指腸を含む多くの消化管に炎症を起こしやすくし、がん化のリスクを高めます。慢性的な炎症は細胞内の遺伝子に傷をつけ、やがて癌化につながります。

② 脂肪の多い食事

動物性脂肪(肉や乳製品など)を過剰に摂取する生活習慣は、胆汁の分泌を増加させます。胆汁が十二指腸に長くとどまることで、粘膜に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

③ その他の要因

  • 遺伝性の疾患(例:家族性大腸腺腫症(FAP))
  • 慢性炎症性疾患(例:クローン病)
  • 胃の手術後の再建部位に発生することもあります
  • ピロリ菌感染も間接的に関連する可能性があります

十二指腸癌の検査方法

① 血液検査

貧血の有無や、肝臓・膵臓の機能を評価する血液検査が行われます。腫瘍マーカー(CEA、CA19-9など)も参考にされることがありますが、以下の点に注意が必要です。

  • マーカー値が高くても、がんの部位は特定できない
  • マーカー値が正常でも、がんが否定できるわけではない

そのため、腫瘍マーカーは補助的な情報として用います。

② 内視鏡検査

内視鏡(胃カメラ)を用いて十二指腸の粘膜を直接観察します。十二指腸癌は、不整な表面や潰瘍、正常粘膜との境界の明瞭さが特徴です。ただし、良性腫瘍である「十二指腸腺腫」との区別が難しいこともあり、確定診断には組織を採取しての病理検査(生検)が必要です。

③ CT・MRI検査

がんの大きさや周囲臓器への広がり、転移の有無を調べるために造影CTやMRIを行います。当院ではこれらの検査は行っておりませんが、検査可能な提携施設をご紹介いたします。

十二指腸癌の治療方法

① 内視鏡治療(早期がんの場合)

がんが粘膜内に限局し、転移がないと判断される場合は、EMR(内視鏡的粘膜切除術)ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が検討されます。ただし、十二指腸は壁が薄く穿孔のリスクが高いため、慎重な判断が求められます。

② 手術(進行がんの場合)

進行した場合は、腫瘍の位置に応じて膵頭十二指腸切除術部分切除などの手術が行われます。術後は再発予防のために抗がん剤治療を追加することもあります。

※当院では内視鏡治療や外科手術は行っておりません。適切な専門施設へ速やかにご紹介いたします。

当院の内視鏡検査(胃カメラ検査)

十二指腸癌の疑いがある場合、まずは胃カメラ検査を受けていただきます。ただし、

  • 喉を通るときに「オエッ」となりそうで怖い
  • 前日や当日の食事制限が煩わしい

といった不安の声をよく耳にします。当院では以下のような工夫で、安心して検査を受けていただける環境を整えています。

当院のこだわりポイント

  • ① 消化器・内視鏡の専門医・指導医が対応
  • ② 鎮静剤を使用し、ほぼ眠った状態での検査が可能
  • ③ 最新の内視鏡機器「ELUXEO7000システム」導入
  • ④ 土日も内視鏡検査を実施
  • ⑤ 胃カメラ・大腸カメラの同日検査が可能
  • ⑥ 経口・経鼻どちらでも選べる苦痛の少ない検査

※胃カメラ検査は前日の食事制限が不要です。消化の良いものを〇時までにお召し上がりください。

おわりに

十二指腸癌は比較的まれながんですが、発見が遅れると治療が困難になります。
日頃の生活習慣を見直すとともに、少しでも不安があれば早めに医師へ相談し、必要に応じて検査を受けましょう。

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