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「がん」を治すには早期発見・早期治療が大事

こんにちは、南流山内視鏡おなかクリニック院長の前田孝文です。
今回は「がん」は治る病気だということについてお話いたします。

がんは恐ろしい病気?

 

 「がん」はとても恐ろしい病気だというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。芸能人など著名人が闘病の末に亡くなったというニュースをよく目にします。実際にどんなタイプの「がん」で、どんな経過で病気が進行したのかはよくわからないものの、とにかく「がん」になってその後亡くなったという事実だけが一人歩きしてしまいます。

 あるいは真偽は定かではありませんが、深刻な状態から「奇跡の」回復をしたような報道も見聞きします。

 いずれにせよ、一見すると極端な状態の「がん」患者さんの報道が多いと思います。

「がん」はとてもありふれた病気

 

 しかし一方で、身の回りで「がん」にかかった人は多いのではないでしょうか?実は「がん」は非常によくある病気です。例えば2018年の1年間で新たに「がん」と診断された人は100万人近くもいます。現在日本では2人に1人が「がん」になる時代なのです。

 

 100万人近くが新たに「がん」になる一方で、2019年に「がん」で亡くなった方は約38万人でした。明らかに言えることは「がん」になった人全員が亡くなるわけではないということです。

 

 「がん」になったとしても治る人はたくさんいますし、むしろ治る人の方が多いです。治る人と治らない人では何が違うのでしょうか?私がこれまで治療を担当することが多かった大腸がんや胃がんを例にとってご説明いたします。

「がん」はステージが進むにつれて治りにくくなる

 

 大腸がんと胃がんが非常によくある「がん」です。「がん」にかかる人の総数は2018年では大腸がんが第一位(約15万人)で胃がんが第二位(12.6万人)でした。胃がんや大腸がんは日本人にとってよくある「がん」です。

 

 「がん」と診断された時に、一番大きな問題はどのような状態(段階)で診断されたかです。「がん」のステージという言葉を聞いたことはあるでしょうか。「がん」はその進み具合によってステージに分けられます。

 

 「がん」はステージ1→2→3→4と進んでいきます(大腸はさらにステージ0もあります)。当然ながらステージが早いほうが治りやすく、治療もしやすいです。

 

 胃がんも大腸がんもステージが低い場合は内視鏡治療(胃カメラや大腸カメラによる治療)だけで治せるものがあります(手術が必要なものもあります)。それは「がん」が表面にとどまっていて、他の場所へ「がん」が飛んでいないからです。そこにある「がん」さえ取り除けば治ってしまうのです。

 

 ステージが進むにつれて、見えないレベルで「がん」が発生した場所から他に移っている可能性が大きくなります。リンパ液の流れに乗って移ると「リンパ節」に転移します。血液の流れに乗って移って肝臓や肺、時には脳や骨などに転移します。「がん」の病状が一番進んだステージ4では、胃や大腸からがん細胞が飛び出して肝臓や肺など他の臓器で「がん」が増えています。

 

 「がん」を治すには、確実に体の中から取り除くことが必要です。「がん」のステージが低ければ低いほど、リンパや肝臓・肺などの他の臓器へ転移する可能性が低くなります。そして転移は目に見えない小さいがん細胞のレベルで起こるので、手術をして数年してから目に見える大きさに発展することがあります。これを再発といいます。

 

 胃がんや大腸がんは以前よりもずっと治りやすくなっています。それは手術のやり方が洗練されてきたことや、再発を予防するための抗がん剤治療が発展してきたからです。

早期の「大腸がん」「胃がん」はほとんど治る

 

 「がん」は治療してからの時間が経てば経つほど再発の可能性が低くなります。胃がんや大腸がんの場合、5年を経過すると再発の心配はかなり低くなることから治癒の目安とされています。ちなみに胃がんと大腸がんの5年生存率を見てみると、

胃がん
 ステージ1 96.0%
 ステージ2 69.2%
 ステージ3 41.9%
 ステージ4 6.3%
大腸がん
 ステージ0 97.3%
 ステージ1 94.4%
 ステージ2 89.0%
 ステージ3 77.5%
 ステージ4 18.8%

 

 早期で発見すればするほど治りやすいことがおわかりいただけると思います。早期に「がん」を発見するために最も大事なことは、症状がない段階で検査を受けて見つけることです。ステージ1や2の段階では自覚症状が何もないことの方が圧倒的に多いからです。

早期発見には内視鏡検査が大事

 

 胃がんや大腸がんを一番確実に見つける方法は内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)を受けることです。「がん」になるのは50代以降が多いため、50歳以上になると定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめしています。また、それより若くても、身内に「がん」になった人がいるときや、気になる症状があるときは、検査を受けることをおすすめします。

 

 「がん」は早く見つけると十分に治ることが期待できますし、治療による体への負担も軽くて済みます。内視鏡検査は辛そうだと敬遠される人もいますが、「がん」の治療を受けることを考えたら、ずっと楽だと思います。一度検査を受けてみれば、思ったより楽だったという人も多いです。

 

 受けたことがない人は、まず一度受けてみましょう。受けたことがある人は、かかりつけの先生と相談して、どれくらいの間隔で検査を受けたら安心か相談してみましょう。

 

 統計データは、「国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/index.html)を参照しました

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